ウォールストリート・ジャーナルのブログに「イラン原油のボイコットで中国の石油商社が漁夫の利を得る」という興味深い記事が出ていました。
この記事を寄稿したのは『チャイナ・サインポスト』のゲイブ・コリンズと米国海軍大学(U.S. Naval War College)のアンドリュー・エリクソンです。
彼らは近年、中国は原油商社として強大な影響力を持ち始めており、今回の欧州連合のイラン原油ボイコットはそれらの中国の原油商社を利する結果になると主張しています。
これはちょうどマーク・リッチが1979年のイラン革命によるイラン原油ボイコットの際、巨万の富を築き上げ、今日のグレンコアの礎を作った経緯を彷彿とさせるとしています。
今回欧州が輸入を手控えるイラン原油は45万バレル/日に相当します。
中国は2011年の上半期にイランから54.3万バレル/日の原油を購入しました。これに対して日本の購入量は同じ期間、34.1万バレル/日でした。
中国の原油輸入量に占めるイラン産原油の比率は11%です。日本の場合は10%です。
次に世界の巨大石油商社を見るとトップ10に中国企業が3社入っています。
なおユニペックはシノペックの子会社です。
このうちズーハイ・ゼンロンが特にイランと近い関係にあります。同社はアメリカで営業していないので米国政府から睨まれる事はありません。
今回、欧州連合がイランの原油を閉めだすことで、イランは売れなくなった原油を欧州以外の地域で捌くため、一層値下げする必要があります。
そこでひとつのシナリオとして、本来欧州へ仕向けされる玉が中国へ向かい、中国はこれを一層買い叩くというものです。原油のスポット価格は$99ですが、コリンズとエリクソンは「たとえばイランがそれを$80程度で処分することを強いられるシナリオがある」としています。
そうやって安い玉を仕入れた中国の石油商社は他の企業とスワップを組むこともできます。またイランの原油を他のものとブレンドすることによって出荷元を隠 ぺいすることも出来るとコリンズとエリクソンは主張しています。その場合、イランの原油は「ヘビー」で、なおかつ硫黄含有量がロシアのウラル種と似ている ので混ぜやすいとしています。
source: http://markethack.net/archives/51799627.html
The King of Oil in Japanese:
– http://www.wayts.net/society/9784904979037.htm
– http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?KEYWORD=978-4-904979-03-7
– http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%AA%E3%83%96%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB-%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4904979036/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1288673156&sr=1-1