石油とかベースメタルとかのいわゆる「コモディティ」については今
グローバリゼーションの進展とともに世界中で取引が行われてる。
でも、石油は(というか原油はだね)最初から自由に取引できる
「コモディティ」だったわけじゃない。
必要性があってそのニーズを発見してサービスを提供できた人間がいたから
原油は「コモディティ」なった。
本書は(おそらく)もっとも有名であろうコモディティトレーダーである
マーク・リッチの歩みを通じて、
彼によっていかに原油がコモディティになったのか、
具体的にはなぜコモディティになるためのスポット取引の市場が
どのように出来上がっていったのかが書かれている。
この「原油のスポットマーケットを作った人間」をいう切り口が
これまでマーク・リッチという人物を説明するのに欠けていた視点なんだろうなあ、
とあらためて感じた次第。
マーク・リッチという人物には過去いろいろあったこともあって
(過去の影響力のわりには)なかなかちゃんとした人物像が伝わることは
なかったのだけど、本書は(やや本人寄りの記述だけど)
直近のことまでがちゃんと書かれているように思う。
おそらく本人がインタビューに応じたってことは珍しいことだし。
コモディティ特に原油取引に興味のあるかたは面白く読めるかと。